現場監督の仕事大解剖!~ 躯体編~

先程は現場監督が1日どんなことを
しているのかを紹介しました。
ここからは、マンション建設の
各工事中に現場監督が何をしているのか、
調査していきます!
今回密着させて頂く監督は、入社5年目のSさんです。
現在までに5現場経験しています。
日広建設では、約1年間同じ現場を担当するので、
マンション建設全ての工程をいち早く学ぶことが出来ます。
工事の種類や意味、
現場監督の仕事を掘り下げて見ましょう!
(※一部写真はコロナ感染症流行前のものです)

山留工事


ビバオ | 各工事ごとに監督のお仕事っぷりを 調査していきます!よろしくお願い致します! 早速ですが今日はどのような 工事ですか? |
S | 今日は「山留工事」です!「やまどめこうじ」と 読みます。地中を掘っている最中に周りの土砂が 崩れて流れ込むのを防ぐ工事です。 |
ビバオ | 地中を掘る時に必要な工事なんですね!そもそも 何で地中を掘るんですか? |
S | 建物を建てる時、私達は必ず地中に基礎を作り、 建物の重さや揺れなどに耐えられるようにします。 そのために地中の工事が必要になります。 |
ビバオ | なるほど。何かを機械で押し込んでいますが、 何をしているんですか? |
S | あれは山留で使われるH鋼です!この現場は 「親杭横矢板(おやぐいよこやいた)工法」を 使っています。H形鋼を埋め込み、Hの隙間の 部分にそれぞれ板を渡して土を留めるんです。 |
ビバオ | なるほど!あそこではHの頭の部分を揃えていますね。 正確な位置に埋め込むのも大変そうですね。 職人さん達が手際よく作業されています。 |

監督の仕事:レベルチェック



ビバオ | この時、監督は何をしているんですか? |
S | 基本的には現場を見て、安全に作業しているかなど 作業過程を確認しています。また、H鋼を埋め込む 位置(深さ)の確認を行うこともあります。 |
ビバオ | この機械で見ているものですね!連係プレーが光って いますね。 |
S | あはは。そうですね、職人さんも知った顔が多いので、 お互い気兼ねなく仕事が出来るんだと思います。 ちなみにこの機械は「レベル」と呼ばれています。 レベルとは高さや水平の基準となるものです。建物 が水平に建つように、レベルを細かく見ていきます。 |
山留工事は建設工事の
「土台」となる工事です

杭(くい)工事

ビバオ | 山留工事の次は杭工事ですが、どのような工事ですか? |
S | 杭工事は建物の重さに地盤が耐えられるように、 地中に杭を打ち込む工事のことです。 |
杭工事の種類


S | 杭の打ち方にもいくつか種類があります。 既製杭工法 元々工場で作られた杭を決めた場所に打つ 場所打ち杭工法 現場に穴を掘り、コンクリートと鉄筋を 使って杭自体を作りながら打つ また杭自体にも種類があり、今回の杭は 「支持層」と呼ばれる建物を支えることが できる固い地盤まで届かせることを目的とした 「支持杭」と呼ばれるもので、 場所打ち杭工法を使っていきます。 |
ビバオ | 細かく分かれているんですね。固い地盤まで 杭を作っていくということですが、 具体的な流れを教えて下さい! |
S | まず、杭の中心となる「芯(杭芯)」が 決められた位置に来るように重機を固定します。 これは「杭芯セット」と呼ばれます。 その後、重機を使って地中を掘っていきます。 |
ビバオ | なるほど。随分大きな機械で掘っていくんですね! このまま掘っても周りは崩れないんですか? |
S | 現場によって深さは違いますが、40m以上掘る こともあるので、もちろん崩れます。 そこで安定液と呼ばれる液体を一緒に流して 崩壊を防ぎながら掘っていきます。 掘り進めた土を取り出して、 また掘り進めてを繰り返していきます。 |
監督の仕事:写真撮影



ビバオ | この時、監督は何をするんですか? |
S | この時は写真を撮って記録しておくことがほとんどです。 使う機材の大きさや現場の作業状況、 掘った土の地質や安定液の検査など、 細かく写真を撮り、記録し書類にまとめていきます。 また、掘った穴がまっすぐか、 周りを崩さず掘れているかなど超音波を使って調べる 「孔壁測定(こうへきそくてい)」 を行うこともあります。 結果を確認して職人さんと打ち合わせをし、 次の工程に進みます。 |
ビバオ | なるほど..。現場でいろいろな検査をし、記録しながら 進めていくのですね。 |
S | そうです。写真で記録しておくことで、キチンと 管理している証明にもなります。また、記録しながら 現場の安全にも気を配り、現場の清掃や近隣の方への 配慮も忘れないよう職人さんと連携しています。 |
監督の仕事:鉄筋確認


ビバオ | 安全管理とは作業する人だけでなく、 現場の外にいる人に対するものでもあるのですね! では、安全に気を付けつつ次いきましょう! |
S | 次は掘り進んだ穴に鉄筋を入れていきます。 鳥かごのように円形に組まれた大きな鉄筋を 入れていきますが、その前に鉄筋の長さや 使った本数などを記録していきます。 |
ビバオ | ここでも「記録すること」が大切ということですね。 |
S | その通りです。地中の工事は上に建物が建ってしまうと 一切見えなくなってしまいます。なので、 細かく確認記録に残しておくことは皆さんが 思っているよりも大切なことなのです。 1~2年目はこういった仕事をこなして仕事の流れを 覚えていきます。話は戻りますが、 いよいよコンクリートを流し込んでいきますよ! |
コンクリート打設


S | ところで、コンクリートがどう運ばれてくるか 知っていますか? |
ビバオ | コンクリートってあのカチカチのやつですよね? 元はもちもちの生地とか…?🍕 |
S | ブブー! 固まる前の状態のコンクリートを 私達は「生コンクリート(生コン)」と言います。 コンクリートは水やセメント、砂・砂利などを混ぜた もので、生コンクリートはものの数時間ですぐに固ま ってしまいます。そこで工場で作った生コンを 「ミキサー車」という車で混ぜながら現場に運ばれて 来るんです!ずいぶん昔は現場で材料を練って コンクリートを作っていたらしいですよ。 |
ビバオ | 道路でよく見るタンクがぐるぐる回っているやつ ですね!昔は現場で練り合わせていたなんて… 昔に比べると便利になりましたね。 |
杭工事完了

S | 掘った穴にコンクリートを下から流し込み、 固まるのを待ちます。これを「打設」と言います。 固まったら、杭周辺の土を埋め戻します。 この一連の流れを繰り返し、 いくつかの工程を終えると杭工事完了となります。 |
ビバオ | お疲れ様でした! スケールの大きい工事でしたが 大体どのくらいの期間工事にかかるんですか? |
S | んー、建物の大きさにもよりますが、 大体1カ月ほどですね。 |
ビバオ | 1カ月!!根気がいりますね..! |
S | そうですね。でも基礎部分、底面を均(なら)すために 新たにコンクリートを打つなど、 まだまだ工程はたくさんあります! |
鉄筋・型枠工事

ビバオ | 次は鉄筋・型枠工事ということですが、2つの工事は 同じタイミングでやることが多いのですか? |
S | んー、そうとも言うような違うような…。 実際には互いに関わり合いのある工事なのですが、 イメージ的には交互に工事が進みます。 |
配筋・型枠の役割


S | 鉄筋工事は柱や壁、梁となる場所に鉄筋を 張り巡らせる工事です。 これを「配筋」とも呼びます。配筋をすることで、 ただコンクリートを固めて造った建物よりも 粘り強く、地震などの災害や火事にも強くなります。 また遮音性もあるので、 多くのマンションやアパート建設で使われています。 身体で言う骨の部分ですね。 |
ビバオ | 安心安全に暮らせるということですね! どのように工事は進むのですか? |
S | 配筋は柱→壁→梁→床の順に行います。 柱と壁の配筋を終えると、 今度は型枠工事が始まります。 型枠とは、簡単に言うとコンクリートを 決められた形に固めるための板です。 鉄筋を型枠で挟み、その間にコンクリートを 流し込むイメージです。 流し込んだコンクリートが固まったら型枠を外します。 |
ビバオ | 型で囲われた内側がコンクリートになる ということですね! 何だかお豆腐作りと似ていますね! |
S | 型に流し込むという所は確かにそうかもしれませんね。 ただ、この2つの工事は更に確認事項も多くなります。 |
監督の仕事:写真撮影・記録


ビバオ | ??? 一体どういうことですか? |
S | 一度コンクリートを流し込むと鉄筋は見えなくなって しまいます。つまり、後から調整することができなく なるのです。そのため、配筋が終わると現場監督は ①使われている鉄筋の種類・本数 ② 〃 配置と間隔 を構造図と照らし合わせ、撮影・記録します。 ①・②はそれぞれ図面で決められているので、 その通りになっているか細かくチェックします。 職人さんと一緒に確認もします。 |
ビバオ | 細かい作業になりそうですね。 |
S | そうですね。建物を支えるための「構造体」と 呼ばれる部分でもあるので、入念に確認し記録します。 より簡単に記録が出来るように「蔵衛門」という 写真ソフトを導入しています! |
監督の仕事:安全確認

ビバオ | では型枠工事の時、 監督のお仕事はどんなものがありますか? |
S | 型枠工事中の時は、 型枠が地面に対して垂直に立っているか 「下げ振」という振り子の様な物を上から垂らして 確認することがありますね。 型枠が真っ直ぐ立っていなければ、 コンクリートも曲がってしまうので。 その他に現場が安全に保たれているか見て回ったり、 次の工事を逆算して必要な資材を発注したりします。 |
スラブ配筋

↓


S | 梁まで型枠が出来上がると、次はスラブに移行します。 |
ビバオ | スラブって何ですか? |
S | スラブは床のことです。あまり聞かない言葉ですよね。 建設業では床のことをスラブ、壁紙のことをクロスと 言ったりするので、用語を覚えることも新入社員の 大事な仕事です。 スラブの型枠 ↓ 梁(はり)の配筋(一つ下階の天井) ↓ スラブの配筋 という順序で進めていきます。 写真撮影等で記録を取るなどの確認作業を 繰り返し行っていきます。 |
コンクリート打設

↓

S | ついにコンクリート打設です! 杭工事と同じ様にコンクリートが運ばれてきますが、 ミキサー車だけでなく「コンクリートポンプ車」も 一緒に手配します。 |
ビバオ | ポンプ車にはどのような役割があるんですか? |
S | コンクリートポンプ車は運んできたコンクリートを 計画で決められた箇所(高い箇所)に送るための 機械です。打設箇所に流し込み、棒状の機械を使って 振動を与え、固めていきます。運ばれてきたコンクリ ートの品質試験なども並行して行いますが、これで 打設完了となります! |
ビバオ | お疲れ様でした‼基礎部分が完成しましたね!この後 はどうなるのですか? |
S | 全ての工程を建物の階数分繰り返します。屋上のコン クリートを打設すれば「上棟」と言い、一区切りとなります。 |
躯体工事とは、
建物の基礎となる地中の部分や本体を造り上げる工事です。
工事が進むと見えなくなる部分も沢山あるので
「記録・確認」が現場監督の主な作業となります。
また、使う資材の品質の検査などの
「品質管理」も重要になります。

内装編に続く…..!!